中央公園自由・芝生広場の樹木伐採
2020年8月23日に、中央公園へ行った。
西側エリアには、江戸時代の広島城内にあった武家屋敷跡があるとみられている。今冬から本格的に発掘調査に取りかかるために、中央公園自由・芝生広場の樹木100本以上を伐採するということを知ったからだ。広場西側の縦140m、横160mの範囲をフェンスで囲み作業にあたるという。
ここには、戦後バラックが建ち並んでいたという。原爆投下で、焼け野原になった広島を生き抜いてきた方々の生活の場所だったことを、基町の方からきいたことがあった。こどもの頃は、ここにあった大きい石でよう遊びよったんよ、とおばあちゃんが言っていた。私は、この場所がこどもの自由な遊び場であり続けていくことは、広島から発信できる「平和」への表現だと思っていた。街中に緑あふれた空間がある。誰もが自由に憩うことのできる広い芝生広場があって木陰があって川があって、時代を見守り続けてきたたくさんの木がある。そこにはコミュニティが生まれ育ち根付いていた。文化財発掘という名の下に、今、それらが壊されていく。にぎわいづくりの起爆剤と謳うスタジアム建設のために自由・芝生広場がなくなる。コロナ禍で進んでいる。
あのとき、中央公園へのサッカースタジアム建設反対と言えなかった私は、自分の目でそれを見ておかなければならないと思った。
オレンジ色の仮囲いの周りをぐるりと一周歩いた。発掘調査エリア(オレンジ色枠)内の樹木伐採は、東側グラウンドに隣接する一本クスノキ以外の全ての木に、伐採予定とみられるピンクテープがされているようだった。全て伐られてしまうのだろう。
悲しさを通り越して気持ち悪くなった。
スタジアム建設にあたっての基本計画では、にぎわいづくりのために複合的機能を持たせるよう中央公園はゾーニングされる。東側は広場エリアとして再整備されることになっている。子育て家庭が集い楽しめる機能として、遊具、アスレチック等の子どもの遊び場とジャブジャブ池も整備されるようだ。
自遊ひろばは、コミュニティの育ちとともにあそび場が変化していくようなあそび場だった。時間をかけてあそび場の空気が醸成されていった。その本質的なところは求められていなかったのだろう。
こどもたちの自由なあそび場は、大人の感覚や都合により綺麗に整えられた場所ではなく、こどもの入り込む隙間がいたるところにある自然の環境がしぜんだと思っている。街中でものびのび遊んでほしくって、大人たちがコミュニティをつくってゆるやかに見守っていた。なだらかな丘状の広い芝生広場は、大人も大らかな気持ちにさせてくれる。それが、自遊ひろばだった。
秋には、エリア内の表面の土が重機で取り除かれる予定だ
あの広くて青い芝生広場はなくなってしまうのだろう
構造が変わらない限り繰り返される
見ておきたいと思っている
知っていてほしいと思う